2002/05/09
スズメの覗き
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スズメは忠義者である。その証拠に「チュウ(忠)」と鳴く。家の子郎党になれば忠義を尽くしてくれるのではないか、とサッチャンがいう。面倒を見てやれば、そのうちツヅラをもって礼にくる。(ネズミだってチュウというとまぜっかえさないこと)それは冗談だが、サッチャンは一年中、スズメと付き合っている。朝と夕方、スズメたち家の子郎党はこの十数年、ご飯を貰いにくる。ところがスズメは臆病者だから、サッチャンがガラス戸越しに姿を見せるとわあっと飛び立って逃げる。すぐに舞い戻ってくるのだが、サッチャンがガラス戸越しに視線をスズメと合わせただけでわあっと逃げる。ずいぶん失礼な話ではないか、とサッチャンはいう。あたしがただの一度でもスズメを苛めたことがあるの、と責める。私を責めてもしょうがないのだが、十数年の間、毎日拙宅を訪問しているのだから、サッチャンの姿を見るだけで逃げるのはやめてほしいと思うのだが、これは「お約束」でスズメとしては逃げずにはいられないのである。逃げるといっても精々数メートルであり、本気で逃げているのではない。そこでサッチャンはガラス戸のすぐ傍にご飯粒を撒いてスズメ寄せを始めた。スズメたちはいやでも人家の至近距離まで引きつけられる。 その結果、何が起こったか? それが画像の写真である。スズメがヘリコプターのようにホバリングして、家の内部を覗き込んでいる。スズメは本当はすごく好奇心が強いのである。もちろん視線が合うと、わあっと逃げ散ることは逃げ散るのである。お約束はお約束として守る義務があるといわんばかりである。
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