2002/05/07
山田章博画集の懐かしいイラストたち
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ようやく苦手のGWが逝った。私の住居は観光地江ノ島に近いのだ。本当のゴミと人ごみで埋まってしまうのがGWの観光地である。子供連れの鎌倉なんて、子供にはちっとも面白くないと思うのだが。 ご紹介するのは、山田章博画伯に献本された画集で、お値段は八千円也。こんな高価な画集を友人知己に贈呈すると、印税があっという間に飛んでしまうのではないか、と心配になるくらいだ。八掛けで出版社は作者に売ってくれるが、それでも一冊六千四百円。仮に三十人に贈呈すると、十九万二千円。それに郵送料とか宅配料とかが嵩む。交友関係が広い人となると、更にダメージは大きい。他人の懐事情を心配してもしょうがないのだが、作家は出版界の苦しい実情を知るだけに、つい気になる。 出版界は本当に未曾有の苦境の中にある。不景気を更にブックオフのようなパラサイトが嵩にかかって追い討ちする。ブックオフを昔の古書店といっしょにするのは大間違い。良いパラサイトは死んだパラサイトだけだ。中には宿主と共生するパラサイトもある。しかし、宿主を殺すパラサイトもあって、ブックオフは間違いなしに後者の殺し屋である。 私がかねがね憂いていた通りのことが起こった。本の万引きを犯罪とも思わない連中が激増したのである。大書店の隣合わせにブックオフが営業しているという冗談のような現実があるが、書店の本の万引きは一冊二冊をこっそり盗むのではなく、ボストンバッグにごっそり、というタイプが激増、すぐその足で隣のブックオフに売りに行く。書店は万引き防止の電子システムのコストに金がかかる。本は売れない。ブックオフも万引きが減ると斜陽化する。更に出版界の不況はドライブがかかり、作家たちはホームレス化するであろう。これは決して冗談ではありません。これをご覧のあなたがたは有史以来未曾有の文化崩壊現象を目の当たりにしているのです。 さて、山田画伯の画集、私平井和正作品のイラストが多数掲載されている。山田画伯のイラストは読者たちにも大好評だったが、大酒家の山田画伯が若い頃から飲み続けたお陰で、イカンゾウを全部壊されてしまい、中途で退場された。私の作品がきっかけになって、山田画伯はイラスト界の超新星になられたわけで、おめでたいのである。しかし、山田画伯の漫画もまたなんともかんとも素晴らしい。他人の作品のイラストより画伯の漫画を読みたいと本気で思う私はとんでもないエゴ野郎であるが、実は本気だ。腹が立ったら、石を投げつけてくれてもいいですよ。
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