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平井和正の「近況+」過去ログです。

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 2002/02/02  籠の中の鳥は


我が家の庭先にやってくる野鳥はサイズ順にいうと、鴉(一番憎憎しい暴力団)鳩(鈍感)鵯(ヒヨドリ、愛嬌ある喧嘩好き)椋鳥(徒党を組む愚連隊)雀(群れを成して訪問、横並びの典型、一羽がパニくると全員に波及)目白(愛くるしいのに大胆不敵。サッチャンが庭に出てきても平気)。サッチャンのお気に入りはなんといっても目白でカップルはメイちゃんとジロちゃんと名前までついている。雀は朝一番に押しかけてきて電線に目白押しになり、黙々と給餌を待つ。入り乱れてついばむが目白が混じっていても気にしない。サッチャンの目の敵はもちろん鴉。ついで椋鳥。徒党を組んで他の小鳥を追い払う暴力団と愚連隊だから。椋鳥もカラスの一族である。下品で声が悪く、暴力性が共通する。そして鳩。大食いで雀二十羽分を食らってしまう。雀たちがあぶれてウロウロしているのが憐れ。最大のお気に入りはなんといっても目白にとどめをさす。可憐で大胆。この組み合わせは蠱惑なのである。
画像の鳥籠は、大食いで下品で凶暴な連中を締め出す仕掛けだ。恐れを知らない目白は図体のでかい連中の入れない隙間からするりと入り込み、大好物の蜜柑をついばむ。雀たちは果物に興味がないので、事実上独占である。他の連中はなんとかして食らおうと逆さまにぶらさがったりして、くちばしを突っ込むがうまくいかずキーキーわめく。目白の幸せはわれわれの幸せでもある。他にコゲラという野鳥も訪れるが、何をしているのかさっぱりわからない。


  
 2002/01/24  電子ブック・プレーヤー


サッチャンがおかもとさんに教えられて、スペイン語の電子辞書があることを知り、文字通り欣喜雀躍した、その日のうちに西語ソフトをネットで注文。わくわくしながら待つこと数日、注文の西語辞書が配達された。ところが、それは電子辞書ではなかった。電子ブック・プレーヤーのソフトだったのである。私に置き換えれば、作家の酒見賢一さんから送られてきたCDソフト、それは酒見さんの知友のアーティスト、高橋美加さんの「メドゥサ」というアルバムなのだが、生憎わたしの持っているソニーのCDラジカセは恐ろしいほど好き嫌いが激しく、気に食わないCDに対してはNO DISKと冷ややかに表示し、まったく相手にしてくれない。なぜこのキカイが酒見さんの知友であるアーティスト、高橋美加さんを嫌うのか、見当もつかない。私の愛するアンドレ・ギャニオンのCDも、およそ基準のわからぬ好き嫌いで排除しやがりますので、私は大好きな「風の道」を聴くことができないのだ。まあ、そんな具合で、私は大好きな「風の道」も聴けず、いまだに高橋美加さんの「メドゥサ」も聴けずにいるわけだが、最初のテーマに戻ると、サッチャンは西語辞書のソフトはあるが、ハードがない。耳に押し当ててもだめなのである。そんな次第で、ネットを調べていると、これは電子ブック・プレーヤーというハードがないことにはまったく無用の長物だとわかった。私は寡聞にして電子ブック・プレーヤーの存在についてまったく無知であった。なぜなら、電子ブック・プレーヤーというハードは、数年前にソニー主導でスタートしたのだが、電子辞書に席巻され、片隅へ追いやられてしまったらしいのである。他メーカーは速やかに逃亡し、今はソニーだけが寂しく孤塁を守っている有様。というのは私の想像に過ぎないのだが、電子辞書が三千円で売っているのに、電子ブック・プレーヤーのソフトは一万円近くするし、ハード本体ときたら、もっともっと高価なのだ。しかし、サッチャンの悲嘆を放置しておくと私はそれに数倍する悲嘆を味わわねばならぬことを長年の経験上知り尽くしているので、一番手っ取り早い解決法を選んだ。それがご覧のサッチャン所有のノートの上に鎮座しているソニー製の電子ブック・プレーヤーなのだ。家庭の幸福に比肩するものはこの世にありませんなあ。

  
 2002/01/15  ブッシュ大統領とプレッツェル


この正月は、元日から仕事を始めてすでに二百枚以上書き進めた。最新作はすでに六百枚を超えているはずだ。「気まぐれバス」の第二弾なのだが、ストレートな続編にはなっていない。読者の予想を常に裏切ることを生き甲斐にしている作家なのだ、この私は。ウルフガイシリーズでは少年犬神明が全然登場しない作品で読者たちの顰蹙やら怒りやら買ったこともあるが、今回はあれほど極端ではない。画像はテルちゃんが愛用している電子辞書。不明な言葉はあっという間に検索できるので、テルちゃんは手放さない。それほどコンパクトで優秀な辞書なのだ。広辞苑、百科事典のマイペディア、英和、和英と入っている。ウチのサッチャンサマが同じことをやっているので、小説にも流用した。ブッシュ大統領がテレビのアメフト観戦中、「プレッツェル」を喉に詰まらせて失神、ソファから転がり落ちた、という新聞記事で、早速「プレッツェル」を調べた。pretzel:ねじ巻き形の塩味のビスケット、ビールのつまみとある。またひとつ賢くなったというのが、サッチャンサマの口癖。私自身もパソコンの辞書類が不要になってしまった。この電子辞書がカラー化してe文庫が読めるようになったらどんなにいいだろう。PDAなんて要らないよ。

  
 2002/01/08  我が家のぬいたち


ぬい、とくると新井素子ちゃんだが、我が家にもぬいたちがいる。ぬいぐるみの類には何の関心も持たない私も、このぬいたちの一部とは心が通じる。「信頼のまなざし」と私が名づけた芸は、「影姫」と名づけたアライグマが私の顔をじっと見上げるポーズで来訪時の高橋留美子さんを抱腹絶倒させた。
アライグマのぬいたちは何時の間にか増殖を遂げたもので、全部名前がついている。全部暗記していたのだが、今となると自信がない。このアライグマ、生産中止になってくれなければ、今ごろ数百頭が我が家を選挙してひしめきあっていたかもしれない。それくらい僅かな間に増えた連中なのだ。
ぼのたちはだいぶ後から来た連中で、今はすっかり色あせてしまった。この写真の当時はまだ新米だったのだ。彼らはぜんぜん芸を見せなかった。ぬいには芸達者と無芸と二通りいる。


  
 2002/01/01  謹賀新年


全国的に正月が襲来したようだ。まだ元旦が来ない人々もおいでだろうが、ともかく新年おめでとうございます、とご挨拶申し上げる。
といっても私には盆も正月もない。デスクの板に張り付いて執筆にいそしんでいる。そのうちに巨大牡蠣の出来上がりだ。
昔の正月はどうだったか、というとやはり同じことをやっていた。貧乏暇なし、というが、作家の私にも暇がないのである。たぶん生涯に三百六十冊、本を出さねばならないという思いが刷り込みされてしまったのであろう。まだまだ先は長い。皆々様も長生きしてお付き合いくだされたく。
古い写真シリーズ、正月にふさわしいショットを見つけた。後にも先にも和服で正月を迎えたのはこの時だけ。サッチャンが抱いているのは若かりし頃のマイサン、アラタであります。私の着物がつんつるてんなのは納得が行かない。ちゃんと仕立てたのだから。私の背丈が一夜にして伸びたのであろうか。
これでもカラー写真である。三十有余年のうちに褪色してしまった。場所は東京都練馬区石神井台で子供たちの生家であり、懐かしい故郷であるらしい。摩利の姿が見えないのはまだ生まれていないから。
  

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