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平井和正の「近況+」過去ログです。

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 2001/09/01  夏の終わりに


この夏は酷暑で、夏に弱い私はどこかへ逃げ出そうかと本気で悩んだほどだ。その負け犬思考を一転させて、酷暑に一夏挑む気になったのはご存知の通り。本城のルナテックが新作切れでいよいよ危なくなったと聞き、最新作をのんびりと執筆も出来なくなった。それがチャレンジサマーの一因でもあるのだが、いやもう一夏、死に物狂いで書きました。休みは全然取れなかったな。
読者の皆さんのご尽力を得て、ルナテックはなんとか飛行してきたが、大手の出版社の電子出版商売は赤字続きで惨憺たるものらしい。理由はいろいろあるが、所詮本気でやっていないので、個人商店のルナテックの足元にも及ばないということになるのだろう。私平井和正も本城も本気でやってきた。だが、それにも限界がある。新作を安定して供給できなければ、覿面にルナテック号は失速するのである。
個人商店のルナテックに対するマスコミの扱いはまことに冷たい。しかし漫然と商売している大手出版社に比べ、狙いを定め足腰を鍛えてきたことは間違いないので、今に飛躍の機会に恵まれるだろう。これも一重にルナテックを後押しして下さる読者の皆様のお陰である。他の電子出版社には読者パワーの熱い推進力はないのだ。
上の画像は、その熱い読者パワーに支えられている漫画家まつもと泉さんのフルカラー漫画集。まつもとさんは数年前から体調を崩して、新作を手がけられない。生死にかかわらず、新作が停止した作家は速やかに忘却の河へと押し流されて行く運命にある。読者パワーの有無は作家の生死を分ける。まつもとさん、早くカムバックして、懸案の黒船漫画を再開して下さい。しかし、フルカラーと言うのは実に迫力があるものです。e文庫の「月光魔術團」の成功はそこにある。

闘病中のマル由さんから色紙のお礼状を戴いた。持ち前の明るさが救いである。この秋、岡山へお見舞いに参じることをお約束した。メガビタで頑張り抜こう、マル由さん。
  
 2001/08/19  祈長寿


夏も終わりに近づいた。日中から秋の虫がか細くなった蝉の声と競演したりする。この夏は、アップダウンの夏季トレーニングが効いたのか、常になく仕事が捗った。最新作も秋口には完成してしまいそうな気配だ。
その折も折、当サイトの各種掲示板の常連、マル由氏が胃癌の検診に引っかかったという書き込みを自身で行ったため、お見舞いラッシュである。この前の夏は、ウメちゃんが自ら癌であることを申告したりして、トピックになった。(尚ウメちゃんは元気だそうである)そこで、祈願長寿の色紙の揮毫をマル由氏に贈る。
関西のスーパー老人、田村さんの著書によると、人間は絶えず体内で長さ五ミリの癌が発生したり消滅したりしているそうである。つまり毛細血管が詰まると癌が発生すると言うのである。癌は嫌気性細胞なので、血行をよくしてやると自然消滅してしまう。私はこの癌細胞嫌気性細胞説に大賛成なので、迂闊に癌検診を受けるなど絶対に避ける。今の医学はほんの些細な癌細胞も発見する技術があると田村さんは言う。しかしその治療法は殺人的な化学療法、ポーリング博士が糾弾していた抗癌剤であり、患者の生命力を殺ぐことにもっぱら力を発揮する。漫画家の赤塚不二夫は徹底的に民間療法派で、しかも日本酒だけで生きている。医者に抗癌剤を使われると三ヶ月の命だが、赤塚サンは日本酒オンリーでもう三年もなんとかもっている。これを酔生夢死というのであろう。
皆さんはどっちを選ばれるか? 私なら抗癌剤より美味しい日本酒を絶対に選びますけどね。

  
 2001/08/13  夏枯れにはピリカラ料理を


夏枯れ、ひどい夏枯れである。どこもかしこもサイトは人影なし。この旧盆時期はまるで人が死に絶えたみたいに閑散としている。人類大絶滅の時は全世界でこんな感じか。
夏枯れで食欲不振の時は、ピリカラに限るとサッチャンが言った。
で、今回のご紹介は筒井康隆大先生の最新刊だ。筒井さんのサイトでちらと見かけたのがもう四、五年前になるこの「天狗の落とし文」、やっと本にまとまった。ピリカラ作家と言えば、やはり筒井康隆にとどめをさす。昔は「がちゃ文屋」「奇天烈人間」など肺腑を抉る警句で余人を寄せ付けなかった。奇天烈サンと言えば、ネットの世界でもいまだに全盛である。自前の脳で電波を受信したりするが、こっちのほうはいささか不気味でも実害は乏しい。「がちゃ文屋」は時折、わがサイトにも出現し、筋の通らぬ屁理屈を排○するので鼻摘みになる。「天狗の落とし文」、献本されたから、と言うわけではないが、やはり笑えます。筒井さんと私平井和正の麻雀のくだりはまったく記憶になかったが、やはり笑えたのであった。しかし、ソーメンや冷麦ばかりでは夏負けしますよ。ピリカラ料理で精をつけては如何?


  
 2001/08/06  片瀬山で拾ったもの


この夏の暑さはどこまでも続く気らしい。こっちも猛暑の時間帯のアップダウンはいまだに続けている。根競べというか半ばは意地である。別人のように日焼けしてしまった。きっと私を知っている人でも認知しがたいものがあるだろう。
片瀬山から目白山にかけて、台湾リスが昔から棲息している。丈高い電柱から電柱へとケーブルの張られた高みをひょいひょいと軽業師のように走って行くのがこの大型のリスである。そこで出会った椿事がこの画像だ。薄曇りの空からの光を浴びて、リスの尻尾は深いサファイア色に輝き、その美しさは息を呑むばかり。私は急ぎ帰宅してサッチャンに言った。
「そこでリスが落ちているので拾ってきた」
「拾ってきたってあなた、リスが落ちてるはずないでしょ」
「うつぶせになって眠るがごとく落ちていた。きっと二十メートルぐらいある電線の上からダイブしたらさぞかし気持ちがいいだろうなあ、と考えたんだ。なにせこの暑さだし」
「眠るがごとくって、このリス呼吸をしていないわよ!」
「安眠しているんだ」
「安眠ってこれ、死んでるわよ」
「そうもいうが、大往生を遂げたともいう。ほれ、尻尾が大きくて美しくて見事なこと。きっと片瀬山の台湾リスの大長老だ」
わたしはサッチャンと談判したあげく、庭に墓を造り埋葬した。決して翌日の朝の生ゴミとして出したりはしなかったのである。

  
 2001/07/28  炎暑の昼下がりに「散歩詩集」


猛烈な炎暑の夏、一陣の涼風がさっと吹いてくるような爽快さを覚えさせるのは、立原道造の詩を読む時である。現代の日本には詩人など払底してしまったから、立原道造という詩人は古代の詩人たち、たとえば万葉集の歌詠みたちと同等だ。詩人が死に絶えた世界は廃墟なのだ。「ボヘミアンガラス・ストリート」のご縁で、知遇を得た「立原道造記念館」の宮本則子氏からなんともロマンチックな「手づくり散歩詩集」を頂戴した。坂道でジーゼルエンジンの黒煙を濛々と吐き散らす大型トラックの後塵を浴びた時、吹いてきた一陣の爽風、と言った趣きだ。画像を紹介して、まだお礼も申し上げなかった宮本氏にお詫びしよう。まことにどうも申し訳ありません。「完全予約版」づくりで、六十五個も章題を作りながらこの夏は過ぎ去ってしまいました。(ってまだ過ぎてないってば)爽やかである。絵はがきにカラー鉛筆を使う19歳の詩人、立原道造、お洒落である。手づくりの字体もハイセンスである。
(これはもちろん複製なのだが、立原道造記念館で販売しているかどうかは知りません。興味があれば、お問い合わせください。夏季企画展は2001年7月5日から9月30日までこの「手づくり詩集」を中心に開催中。立原道造記念館 〒113−0032 東京都文京区弥生2−4−5 TEL 03−5684−8780)

  

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