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平井和正の「近況+」過去ログです。

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 2001/08/13  夏枯れにはピリカラ料理を


夏枯れ、ひどい夏枯れである。どこもかしこもサイトは人影なし。この旧盆時期はまるで人が死に絶えたみたいに閑散としている。人類大絶滅の時は全世界でこんな感じか。
夏枯れで食欲不振の時は、ピリカラに限るとサッチャンが言った。
で、今回のご紹介は筒井康隆大先生の最新刊だ。筒井さんのサイトでちらと見かけたのがもう四、五年前になるこの「天狗の落とし文」、やっと本にまとまった。ピリカラ作家と言えば、やはり筒井康隆にとどめをさす。昔は「がちゃ文屋」「奇天烈人間」など肺腑を抉る警句で余人を寄せ付けなかった。奇天烈サンと言えば、ネットの世界でもいまだに全盛である。自前の脳で電波を受信したりするが、こっちのほうはいささか不気味でも実害は乏しい。「がちゃ文屋」は時折、わがサイトにも出現し、筋の通らぬ屁理屈を排○するので鼻摘みになる。「天狗の落とし文」、献本されたから、と言うわけではないが、やはり笑えます。筒井さんと私平井和正の麻雀のくだりはまったく記憶になかったが、やはり笑えたのであった。しかし、ソーメンや冷麦ばかりでは夏負けしますよ。ピリカラ料理で精をつけては如何?


  
 2001/08/06  片瀬山で拾ったもの


この夏の暑さはどこまでも続く気らしい。こっちも猛暑の時間帯のアップダウンはいまだに続けている。根競べというか半ばは意地である。別人のように日焼けしてしまった。きっと私を知っている人でも認知しがたいものがあるだろう。
片瀬山から目白山にかけて、台湾リスが昔から棲息している。丈高い電柱から電柱へとケーブルの張られた高みをひょいひょいと軽業師のように走って行くのがこの大型のリスである。そこで出会った椿事がこの画像だ。薄曇りの空からの光を浴びて、リスの尻尾は深いサファイア色に輝き、その美しさは息を呑むばかり。私は急ぎ帰宅してサッチャンに言った。
「そこでリスが落ちているので拾ってきた」
「拾ってきたってあなた、リスが落ちてるはずないでしょ」
「うつぶせになって眠るがごとく落ちていた。きっと二十メートルぐらいある電線の上からダイブしたらさぞかし気持ちがいいだろうなあ、と考えたんだ。なにせこの暑さだし」
「眠るがごとくって、このリス呼吸をしていないわよ!」
「安眠しているんだ」
「安眠ってこれ、死んでるわよ」
「そうもいうが、大往生を遂げたともいう。ほれ、尻尾が大きくて美しくて見事なこと。きっと片瀬山の台湾リスの大長老だ」
わたしはサッチャンと談判したあげく、庭に墓を造り埋葬した。決して翌日の朝の生ゴミとして出したりはしなかったのである。

  
 2001/07/28  炎暑の昼下がりに「散歩詩集」


猛烈な炎暑の夏、一陣の涼風がさっと吹いてくるような爽快さを覚えさせるのは、立原道造の詩を読む時である。現代の日本には詩人など払底してしまったから、立原道造という詩人は古代の詩人たち、たとえば万葉集の歌詠みたちと同等だ。詩人が死に絶えた世界は廃墟なのだ。「ボヘミアンガラス・ストリート」のご縁で、知遇を得た「立原道造記念館」の宮本則子氏からなんともロマンチックな「手づくり散歩詩集」を頂戴した。坂道でジーゼルエンジンの黒煙を濛々と吐き散らす大型トラックの後塵を浴びた時、吹いてきた一陣の爽風、と言った趣きだ。画像を紹介して、まだお礼も申し上げなかった宮本氏にお詫びしよう。まことにどうも申し訳ありません。「完全予約版」づくりで、六十五個も章題を作りながらこの夏は過ぎ去ってしまいました。(ってまだ過ぎてないってば)爽やかである。絵はがきにカラー鉛筆を使う19歳の詩人、立原道造、お洒落である。手づくりの字体もハイセンスである。
(これはもちろん複製なのだが、立原道造記念館で販売しているかどうかは知りません。興味があれば、お問い合わせください。夏季企画展は2001年7月5日から9月30日までこの「手づくり詩集」を中心に開催中。立原道造記念館 〒113−0032 東京都文京区弥生2−4−5 TEL 03−5684−8780)

  
 2001/07/18  猛暑の夏、皆さんご自愛ください。平井和正拝


空恐ろしい日照りの猛暑である。昨年の夏も猛暑であった。春先から持ち越している眼精疲労の涙目に苦しみながら、「メガビタミン・ショック」の恐ろしい仕事に打ち込んだ。なにせ原本の「ポーリング博士のビタミンC健康法」という分厚い本から引用したり抜粋したり、私の何より苦手とする「整理整頓」に立ち向かわねばならなかったからだ。原本に忠実でなければならないので、いい加減だったりテキトーだったりする文章は書けない。一生に一度のご奉公、と覚悟してやっとできた仕事だ。もちろん一夏の本来の原稿執筆は完全ストップ、出銭ばかりの無報酬仕事であった。まあ、いいよね。人間、生涯に一度ぐらいは世間様(あなたがたのことですよ)に奉仕するってのも。
それはともかく、仕事部屋に立てこもったまま、一夏外出しなかったので、覿面に冷房病になった。冷房は体に悪いのである。三年前は気管支の咳が半年以上止まらなかった。体が冷え切っているといくらメガビタミンでも追いつかない。
そこで今年の夏は一日一度、午後十二時から三時までの猛烈に暑い時間帯をわざわざ選んで一時間以上かんかん照りの猛烈な照り返しの厳しい路上を歩くことに決めた。それもアップダウンの道だ。心肺機能を高めるにもちょうどよい。息を切らして帰宅すると猛烈な汗が噴出して、シャワーを浴びた後も三十分は汗が引かない。しかし、汗が出きった後の快適さはまた格別だ。
サッチャンが外出する日は、外で蕎麦を食う。山本周五郎先生は盛り蕎麦一枚を食べかねて、蕎麦屋の客のおっさんに馬鹿にされたそうだが、私はそんなことにはならないで済んでいる。大盛りを注文して七味をたっぷり振り掛け(これは内田勝さんに伝授された蕎麦の食い方だ)つるつると手繰る。蕎麦が美味くないとこんなのは無理だが、私は土地の知り合いに教えられて、美味い蕎麦屋を手に入れたのだ。江ノ電腰越駅から海よりに数分、「川邊」という蕎麦屋さんだ。もし立ち寄ることがあれば、鴨の付け蕎麦がとても美味い。もちろん盛り蕎麦もお勧め。「川邊」のすぐ近くに美味いと言われるイタリアンの店があるが、ここはテイクアウトをしないというニベもない店なので減点20ポイント。試しに食ったペペロンチーノはよかったし、テーブルワインをグラスで貰ったがこれもグー。しかし、テイクアウトなしと言うのはサービス心が欠ける。
なんか、身辺雑記ふうで気が引けますが、画像は江ノ島方面には全然関係なくて、軽井沢で熊野皇大神社(なんて読むんだろう、くまのすめらぎだいじんじゃ、かな?)で発見した奇怪な狛犬の片割れ。「エヴァ」の最後に登場する使徒を思わせる異様な面構えではないか。もう一つの片割れも吉田茂(戦後すぐの宰相ですよ)に似た面構えで、なんともいえぬ異様な気分に誘われた。
あ、完全予約版、章題は順調に捗ってますからご安心を。



  
 2001/07/11  打ち上げの写真を間違えてアップしてしまった。これはイタリアン。


「月光魔術團」の打ち上げの光景であります。駿台曜曜社の方々も参加、男性が小林さん、女性が山田さん。場所は軽井沢。撮影者は本城。
軽井沢といえば、若者相手の厭味にスカした店が多いのだが、この「入山」は軽薄な風潮に背を向けた伝統的なお蕎麦屋さんである。蕎麦はとてもうまい。春先に天ざるを注文した時は、タラ(山菜ね)が入っていてうれしかった。新幹線の軽井沢駅北口からまっすぐ歩いて数分、道路の左側にある。
このときの打ち上げは、アメリーハウス軽井沢で「完全予約版」の最終的詰めを行った。場所は奥深い森の中。カッコウがしきりに啼いていた。消灯した夜間は真の闇となり、物音一つしなくなる。都会では味わえない耳が変になりそうな分厚い静寂だ。
出版記念会は予約者のみに限定せず、このサイトに集まる人々も迎え入れるオープンな形式とすることになった。出版記念会参加を希望される方は、間もなく本城がこのウルフガイ・ドット・コムに設ける「予約の予約・カウンター」に予備的にご登録下さい。
会場は未定であるが、平井和正の挨拶と泉谷あゆみ画伯のサイン会イラスト展はきっちり押さえておきたい。(俺は人前での挨拶が死ぬほど嫌いなので、敢えて自分に強制するわけである。これが21世紀最後の機会になるであろうと思う)


  

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