2001/08/06
片瀬山で拾ったもの
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この夏の暑さはどこまでも続く気らしい。こっちも猛暑の時間帯のアップダウンはいまだに続けている。根競べというか半ばは意地である。別人のように日焼けしてしまった。きっと私を知っている人でも認知しがたいものがあるだろう。 片瀬山から目白山にかけて、台湾リスが昔から棲息している。丈高い電柱から電柱へとケーブルの張られた高みをひょいひょいと軽業師のように走って行くのがこの大型のリスである。そこで出会った椿事がこの画像だ。薄曇りの空からの光を浴びて、リスの尻尾は深いサファイア色に輝き、その美しさは息を呑むばかり。私は急ぎ帰宅してサッチャンに言った。 「そこでリスが落ちているので拾ってきた」 「拾ってきたってあなた、リスが落ちてるはずないでしょ」 「うつぶせになって眠るがごとく落ちていた。きっと二十メートルぐらいある電線の上からダイブしたらさぞかし気持ちがいいだろうなあ、と考えたんだ。なにせこの暑さだし」 「眠るがごとくって、このリス呼吸をしていないわよ!」 「安眠しているんだ」 「安眠ってこれ、死んでるわよ」 「そうもいうが、大往生を遂げたともいう。ほれ、尻尾が大きくて美しくて見事なこと。きっと片瀬山の台湾リスの大長老だ」 わたしはサッチャンと談判したあげく、庭に墓を造り埋葬した。決して翌日の朝の生ゴミとして出したりはしなかったのである。
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