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平井和正の「近況+」過去ログです。

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 2001/07/28  炎暑の昼下がりに「散歩詩集」


猛烈な炎暑の夏、一陣の涼風がさっと吹いてくるような爽快さを覚えさせるのは、立原道造の詩を読む時である。現代の日本には詩人など払底してしまったから、立原道造という詩人は古代の詩人たち、たとえば万葉集の歌詠みたちと同等だ。詩人が死に絶えた世界は廃墟なのだ。「ボヘミアンガラス・ストリート」のご縁で、知遇を得た「立原道造記念館」の宮本則子氏からなんともロマンチックな「手づくり散歩詩集」を頂戴した。坂道でジーゼルエンジンの黒煙を濛々と吐き散らす大型トラックの後塵を浴びた時、吹いてきた一陣の爽風、と言った趣きだ。画像を紹介して、まだお礼も申し上げなかった宮本氏にお詫びしよう。まことにどうも申し訳ありません。「完全予約版」づくりで、六十五個も章題を作りながらこの夏は過ぎ去ってしまいました。(ってまだ過ぎてないってば)爽やかである。絵はがきにカラー鉛筆を使う19歳の詩人、立原道造、お洒落である。手づくりの字体もハイセンスである。
(これはもちろん複製なのだが、立原道造記念館で販売しているかどうかは知りません。興味があれば、お問い合わせください。夏季企画展は2001年7月5日から9月30日までこの「手づくり詩集」を中心に開催中。立原道造記念館 〒113−0032 東京都文京区弥生2−4−5 TEL 03−5684−8780)

  
 2001/07/18  猛暑の夏、皆さんご自愛ください。平井和正拝


空恐ろしい日照りの猛暑である。昨年の夏も猛暑であった。春先から持ち越している眼精疲労の涙目に苦しみながら、「メガビタミン・ショック」の恐ろしい仕事に打ち込んだ。なにせ原本の「ポーリング博士のビタミンC健康法」という分厚い本から引用したり抜粋したり、私の何より苦手とする「整理整頓」に立ち向かわねばならなかったからだ。原本に忠実でなければならないので、いい加減だったりテキトーだったりする文章は書けない。一生に一度のご奉公、と覚悟してやっとできた仕事だ。もちろん一夏の本来の原稿執筆は完全ストップ、出銭ばかりの無報酬仕事であった。まあ、いいよね。人間、生涯に一度ぐらいは世間様(あなたがたのことですよ)に奉仕するってのも。
それはともかく、仕事部屋に立てこもったまま、一夏外出しなかったので、覿面に冷房病になった。冷房は体に悪いのである。三年前は気管支の咳が半年以上止まらなかった。体が冷え切っているといくらメガビタミンでも追いつかない。
そこで今年の夏は一日一度、午後十二時から三時までの猛烈に暑い時間帯をわざわざ選んで一時間以上かんかん照りの猛烈な照り返しの厳しい路上を歩くことに決めた。それもアップダウンの道だ。心肺機能を高めるにもちょうどよい。息を切らして帰宅すると猛烈な汗が噴出して、シャワーを浴びた後も三十分は汗が引かない。しかし、汗が出きった後の快適さはまた格別だ。
サッチャンが外出する日は、外で蕎麦を食う。山本周五郎先生は盛り蕎麦一枚を食べかねて、蕎麦屋の客のおっさんに馬鹿にされたそうだが、私はそんなことにはならないで済んでいる。大盛りを注文して七味をたっぷり振り掛け(これは内田勝さんに伝授された蕎麦の食い方だ)つるつると手繰る。蕎麦が美味くないとこんなのは無理だが、私は土地の知り合いに教えられて、美味い蕎麦屋を手に入れたのだ。江ノ電腰越駅から海よりに数分、「川邊」という蕎麦屋さんだ。もし立ち寄ることがあれば、鴨の付け蕎麦がとても美味い。もちろん盛り蕎麦もお勧め。「川邊」のすぐ近くに美味いと言われるイタリアンの店があるが、ここはテイクアウトをしないというニベもない店なので減点20ポイント。試しに食ったペペロンチーノはよかったし、テーブルワインをグラスで貰ったがこれもグー。しかし、テイクアウトなしと言うのはサービス心が欠ける。
なんか、身辺雑記ふうで気が引けますが、画像は江ノ島方面には全然関係なくて、軽井沢で熊野皇大神社(なんて読むんだろう、くまのすめらぎだいじんじゃ、かな?)で発見した奇怪な狛犬の片割れ。「エヴァ」の最後に登場する使徒を思わせる異様な面構えではないか。もう一つの片割れも吉田茂(戦後すぐの宰相ですよ)に似た面構えで、なんともいえぬ異様な気分に誘われた。
あ、完全予約版、章題は順調に捗ってますからご安心を。



  
 2001/07/11  打ち上げの写真を間違えてアップしてしまった。これはイタリアン。


「月光魔術團」の打ち上げの光景であります。駿台曜曜社の方々も参加、男性が小林さん、女性が山田さん。場所は軽井沢。撮影者は本城。
軽井沢といえば、若者相手の厭味にスカした店が多いのだが、この「入山」は軽薄な風潮に背を向けた伝統的なお蕎麦屋さんである。蕎麦はとてもうまい。春先に天ざるを注文した時は、タラ(山菜ね)が入っていてうれしかった。新幹線の軽井沢駅北口からまっすぐ歩いて数分、道路の左側にある。
このときの打ち上げは、アメリーハウス軽井沢で「完全予約版」の最終的詰めを行った。場所は奥深い森の中。カッコウがしきりに啼いていた。消灯した夜間は真の闇となり、物音一つしなくなる。都会では味わえない耳が変になりそうな分厚い静寂だ。
出版記念会は予約者のみに限定せず、このサイトに集まる人々も迎え入れるオープンな形式とすることになった。出版記念会参加を希望される方は、間もなく本城がこのウルフガイ・ドット・コムに設ける「予約の予約・カウンター」に予備的にご登録下さい。
会場は未定であるが、平井和正の挨拶と泉谷あゆみ画伯のサイン会イラスト展はきっちり押さえておきたい。(俺は人前での挨拶が死ぬほど嫌いなので、敢えて自分に強制するわけである。これが21世紀最後の機会になるであろうと思う)


  
 2001/07/01  小池書院とは何か?


画像の本が寄贈された。俺は小池書院という出版社を知らなかったのだが、しばらく前までスタジオ・シップと名乗っていたらしい。なるほど、漫画原作者の重鎮、小池一雄氏の主宰する出版社さんだったのだ。小池氏は知人の梶研吾さんの師匠で、梶さんは常に小池氏の唱えるキャラクターイズムについて言及されている。このキャラクターイズムは、要するにキャラが立たない漫画はダメであるという主張だ。まったくその通りで、漫画界においてはキャラクターイズムは常識だが、小説界ではほとんど知る人もいない。つまり小説界はゼツボウ的に遅れを取っているのである。
もちろん、作家たちの中でも本能的にキャラクターイズムを実践した人々は、歴史に名を残している。しかし、純文学に毒された作家はそれこそゼツボウ的にキャラが立たない。今は、漫画に造形の深い小説の書き手は積極的に漫画の手法を取り入れる時代だ。しかし、漫画と小説は違う。キャラの顔だけでキャラクターイズムが成立する漫画と違って、小説書きはそれこそ粒々辛苦、キャラが立つまで我慢して文字を長々と書きつらねる。やっぱり小説は分が悪い。
このキャラクターイズム理論は、漫画界を席巻した。もはや漫画のイロハであり、これを学ばなければ漫画にならないというぐらいのものである。俺はこの理論が権威になった以上は、その枠を破りたいと本能的に思ってしまう。枠を破って新風を吹き込みたいと願うのは創造に従事する者の本能でもあるのである。


  
 2001/06/22  完全予約版の仕掛け人がこのひと


完全予約版「幻魔大戦DNA」の仕掛け人にして、担当編集者小林さんをご紹介する。懐かしやウメちゃんの雄姿が見られるが、俺のトイ面に座しておられるのが彼。(ちなみにマイサン新の情報によれば、ウメちゃんはすでに元気一杯で仕事を再開しているそうである。)さて小林氏は高校時代からの俺の愛読者として、大張り切りで「メガビタミン・ショック」を担当したのも彼。俺の作品をあれもこれもコレもアレも出したいと熱望しておられるが、とにもかくにも「完全予約版」が成功しなければどうにもならない。読者の皆様なにとぞご協力を、とのことである。さすがに愛読者のキャリアが長いだけあって、小林氏は完全予約版のツボを押さえていると思う。価格設定にしてもそうだが、「完全予約版」を美麗なハードカバー新書版にし、アスキー版「月光魔術団」、メディアワークス版「ウルフガイDNA」と不調和にならないようにする、という配慮はなかなかのもの。サイズを揃えて書架に並べた時の気分までわかっているのは、さすが愛読者のキャリア十分。きっと読者の皆さんの要望によく応えてくれると期待している。
さて、小林氏から届いたメールによると、「完全予約版」は全六巻。完全予約制の限定出版。予約告示は当サイト及び、九月刊行予定の「ストレンジ・ランデヴー」(集英社文庫)のあとがきに掲載。まだ詳細は未定だが、ハルキ文庫の「ヤングウルフガイ」のあとがきでも刊行を告示する。決済は前金、予約募集は十月より十二月末まで。
特典は俺がすでに発表済み。最新作の「ビッグ・プレリュード篇」は俺が気絶しそうな大目玉特典だ。こんなことをしちゃってよいのか? 表紙は「メガビタミン・ショック」でお馴染み、「コミック・マスターJ」で大当たりの燃える漫画家余湖裕輝氏が大興奮で引き受けてくれた。かっこいい表紙は折り紙付きだな。人気イラストレーターの泉谷あゆみさんの素晴らしい装画で飾られる卓上カレンダー、これは「近況」で即、見られるぞ。そしてまだ構図は本決まりではないが、すごい出来ばえ間違いなしのA2判ポスター。最後におまけだ、持ってけ俺のシグネチャーこと肉筆サイン。まじでぶったおれそうだな。
この持ってけ大サービスの「完全予約版」のスタートは、明年二月より七月まで月一刊行である。価格は必ず二万円以下に抑えるが、もう少し詰めさせて戴きたい。俺自身も原稿料で目一杯購入する。五十セットぐらい買って、すぐさま「まんだらけ」に横流し? しないしない、そんなこと。とにかく担当編集者の小林氏に代わってお願いするだ。皆様買って買って買いまくってくだせい。これはめちゃ安いぞ。なんなら印税分で二百セットほど買い占めて……済まん、出来心だ、許してくれい。

  

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