2001/07/01
小池書院とは何か?
|
画像の本が寄贈された。俺は小池書院という出版社を知らなかったのだが、しばらく前までスタジオ・シップと名乗っていたらしい。なるほど、漫画原作者の重鎮、小池一雄氏の主宰する出版社さんだったのだ。小池氏は知人の梶研吾さんの師匠で、梶さんは常に小池氏の唱えるキャラクターイズムについて言及されている。このキャラクターイズムは、要するにキャラが立たない漫画はダメであるという主張だ。まったくその通りで、漫画界においてはキャラクターイズムは常識だが、小説界ではほとんど知る人もいない。つまり小説界はゼツボウ的に遅れを取っているのである。 もちろん、作家たちの中でも本能的にキャラクターイズムを実践した人々は、歴史に名を残している。しかし、純文学に毒された作家はそれこそゼツボウ的にキャラが立たない。今は、漫画に造形の深い小説の書き手は積極的に漫画の手法を取り入れる時代だ。しかし、漫画と小説は違う。キャラの顔だけでキャラクターイズムが成立する漫画と違って、小説書きはそれこそ粒々辛苦、キャラが立つまで我慢して文字を長々と書きつらねる。やっぱり小説は分が悪い。 このキャラクターイズム理論は、漫画界を席巻した。もはや漫画のイロハであり、これを学ばなければ漫画にならないというぐらいのものである。俺はこの理論が権威になった以上は、その枠を破りたいと本能的に思ってしまう。枠を破って新風を吹き込みたいと願うのは創造に従事する者の本能でもあるのである。
| |