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平井和正の「近況+」過去ログです。

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 2001/06/22  完全予約版の仕掛け人がこのひと


完全予約版「幻魔大戦DNA」の仕掛け人にして、担当編集者小林さんをご紹介する。懐かしやウメちゃんの雄姿が見られるが、俺のトイ面に座しておられるのが彼。(ちなみにマイサン新の情報によれば、ウメちゃんはすでに元気一杯で仕事を再開しているそうである。)さて小林氏は高校時代からの俺の愛読者として、大張り切りで「メガビタミン・ショック」を担当したのも彼。俺の作品をあれもこれもコレもアレも出したいと熱望しておられるが、とにもかくにも「完全予約版」が成功しなければどうにもならない。読者の皆様なにとぞご協力を、とのことである。さすがに愛読者のキャリアが長いだけあって、小林氏は完全予約版のツボを押さえていると思う。価格設定にしてもそうだが、「完全予約版」を美麗なハードカバー新書版にし、アスキー版「月光魔術団」、メディアワークス版「ウルフガイDNA」と不調和にならないようにする、という配慮はなかなかのもの。サイズを揃えて書架に並べた時の気分までわかっているのは、さすが愛読者のキャリア十分。きっと読者の皆さんの要望によく応えてくれると期待している。
さて、小林氏から届いたメールによると、「完全予約版」は全六巻。完全予約制の限定出版。予約告示は当サイト及び、九月刊行予定の「ストレンジ・ランデヴー」(集英社文庫)のあとがきに掲載。まだ詳細は未定だが、ハルキ文庫の「ヤングウルフガイ」のあとがきでも刊行を告示する。決済は前金、予約募集は十月より十二月末まで。
特典は俺がすでに発表済み。最新作の「ビッグ・プレリュード篇」は俺が気絶しそうな大目玉特典だ。こんなことをしちゃってよいのか? 表紙は「メガビタミン・ショック」でお馴染み、「コミック・マスターJ」で大当たりの燃える漫画家余湖裕輝氏が大興奮で引き受けてくれた。かっこいい表紙は折り紙付きだな。人気イラストレーターの泉谷あゆみさんの素晴らしい装画で飾られる卓上カレンダー、これは「近況」で即、見られるぞ。そしてまだ構図は本決まりではないが、すごい出来ばえ間違いなしのA2判ポスター。最後におまけだ、持ってけ俺のシグネチャーこと肉筆サイン。まじでぶったおれそうだな。
この持ってけ大サービスの「完全予約版」のスタートは、明年二月より七月まで月一刊行である。価格は必ず二万円以下に抑えるが、もう少し詰めさせて戴きたい。俺自身も原稿料で目一杯購入する。五十セットぐらい買って、すぐさま「まんだらけ」に横流し? しないしない、そんなこと。とにかく担当編集者の小林氏に代わってお願いするだ。皆様買って買って買いまくってくだせい。これはめちゃ安いぞ。なんなら印税分で二百セットほど買い占めて……済まん、出来心だ、許してくれい。

  
 2001/06/18  ああ、大目玉!


この画像は「幻魔大戦全集」の特典の大目玉、最新作の「女神變生」のバインダーである。全巻を揃えるとプレゼントされた。青鹿晶子の左肩に紅い蝶の痣があるのがお分かりであろう。彼女が時を超える存在であることの証なのである。ところが、1988年、徳間書店から徳間ノベルスとして刊行された時には、この大事な紅い蝶の痣がない。デザイナーも担当替えしたばかりの編集者もこの紅い蝶の痣が何を意味するか知らなかったのだ。作家やイラストレーターにはきちんとデザインを示して認証を求めることですな。
今回の「幻魔大戦DNA」全集完全予約版は、先例に倣って、最新作を特典の大目玉としたい。尚、分冊にしないので、バインダーはなしね。

  
 2001/06/12  昔の「幻魔大戦全集」


完全予約版のアナウンスが手間取っている。概略は決まっても細部を詰めて行くと、思わぬ齟齬が見つかるのである。俺が別口の出版社とダブルヘッダーをやっていで、疲れていたせいだ。駿台曜曜社さんも完全予約版は初めての試みなので、戸惑いもある。どれだけ予約が集まるか、見当もつかないのである。不吉な予想だが、予約が集まらず企画自体がコケたとしても恨まないでほしい。もともと「月光魔術團」は全三十七巻、という長すぎる小説であった。しかも版元が二度に渡ってコケた。長すぎる小説を、最初から出版し直す出版社を探すのは、この超不況下では困難というより不可能に近い。今後、更に不況は深まる状況にあるから、この長すぎる小説の出版は、今回の完全予約版が最後のチャンスかもしれない。大量出版の場合は何万部も刷るので、コストは低下するが、小部数の場合はコストが高くなるのは避けられない。完全予約版以外に出版の道はないのである。価格は高いがその代わり付加価値を沢山つける。その付加価値である特典がお気に召せば幸いである。
ご覧の画像は、十数年前に徳間書店で出した「幻魔大戦」全集である。全巻の購入者にはケース及び付録の冊子「女神変生」の分冊を納める特製バインダーを特典とした。未発表の最新作「女神変生」が特典になったので、大人気だった。こんなことを平気でやってのける作家は俺ぐらいだろう。
今回はどうだろうか? 細部を詰めてから順次発表するのでお待ち戴きたい。
  
 2001/06/06  周五郎先生と一緒だっ


久しぶりに元講談社、現ソニーの大恩人、内田勝さんにお会いした。その折、内田さんが持参してくれたのは、「山本周五郎全エッセイ」なる中央大学出版部刊行の分厚い本。発行日は昭和四十九年十二月十日とある。内田さんはたった今、駅前の古本市で見つけてきたんです、平井さんにプレゼントしますとおっしゃった。山本周五郎先生のエッセイ集は数冊持っているが、この本は知らなかった。
帰宅後、本をめくっているうちに、はっと気付いた。画像の下半分に周五郎先生を囲んだ中央大学の学生たちの姿がある。この周五郎先生が生涯ただ一度なさった講演会の写真なのだが、俺は間違いなく講演を聴き、その後の周五郎先生との懇親会に居合わせたのである。この写真の周五郎先生の右隣にいる学生服すがたの学生は確かに俺であった。この写真は失われていた俺の記憶を蘇らせた。俺は当時、二枚の写真を出版部から貰ったのだが、長年月の間に紛失、ついでに記憶も忘失してしまっていたのだった。すごく珍しい写真だったのだなあ。内田さんありがとうございます。


  
 2001/05/25  やっぱり紙の本が欲しいっ


五年がかりで書き上げた「月光魔術團」全三十七巻、残すは来月刊行の最終巻を残すのみ。いつになくしんみりする。作家としてこんなに執筆を楽しんだことはまたとない。沢山の登場人物たちはいつまでも俺の心に住み着いたまま残留し、お陰で新作をなかなか書けずに困った。こんなことは作家になって四十年、初めてのことである。
もしこの作品が、電子ブックのパイオニアとしての活動に恵まれなければ、今ごろこのウルフガイ・ドット・コムというサイトは存在しなかったろう。電子出版の神様が助けてくれたのだ。デジガミ様って本当に存在するかもしれないぞ。
「月光魔術團」三十七巻は、紆余曲折はあったものの、とにかく無事に完結する。折りしも出版業界の空前の超不況の大波を受けて、「幻魔大戦DNA」編のペーパーメディアによる出版は中途で打ち切りになった。なんたる悲運、などと俺は一瞬も思わなかった。これは電子出版を本格的軌道に乗せる絶好のチャンスではないか。商売下手の本城は必ずしも上昇気流に載せることはできなかったようだが、電子出版というニュー・メディア自体が世間の注目を集める機運を招いたことは間違いない。俺が収益を独り占めすれば、電子出版で四千万円がとこ稼いだ、ボロ儲けではないか、と嫉妬深い同業者たちは色めき立つであろう。とにかく他の電子出版社でやっている作家たちは俺の収益の足元にも寄りつけないのだから。年間の収入が二、三百万円ぐらいしかなくなってしまった作家たちは、雪崩を打ってルナテックに殺到する、なんてことが起こるかどうかは知らん。しかし、電子出版の未来は洋々としている、とだけは言える。
ところで、中途打ち切りになった「幻魔大戦DNA」編を、完全予約制少数限定出版の豪華版で出版望むという出版社が出現。予約を近々募集開始ということだ。なぜ完全予約制にするかといえば、返本率はすでに数年前から五十パーセントを超え、売れない在庫を抱えることが出版社の死命を制するからだ。要するにこの危機を乗り越えなければ大方の出版社は(大出版社も)倒産必至なのだ。在庫を抱えずに本を出すには、予約制しか手段は残されていない。そんな説明を受けて、俺は好意的な返事を与えた。素晴らしい本づくりを約束してくれれば、俺も協力は惜しまないつもりである。
  

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