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平井和正の「近況+」過去ログです。

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 2001/05/18  一条ゆかりさん謎の十字式健康法体験記後半部分


十字式健康法にはかなりの誤解や偏見があるようなので、一条ゆかりさんのパンフレットの後半部分も紹介する。十字式健康法の最大の特徴は、背骨の歪みを気功(念力?)で一瞬にして矯正することとそれに伴う治療時間の驚くべき短縮の二つだ。文字通り瞬く間に治療は終わり、その間二、三分にすぎない。詳しくは一条ゆかりさんの報告を読んで欲しい。これ以上付け加えることは何もない。要にして簡潔、さすがは超一流の漫画家さんのレポートだ。宗癒師たちは熱心なキリスト教徒で人数はきわめて少ない。キリスト教に基づく博愛精神に富むという観点で、宗癒師希望者から選抜されるらしい。悪心ある人間に治療法を悪用されることを避けると創始者の阿久津医博は述べていた。人を生かすものは同時に人を殺すものでもあるのである。科学ってそういうもんだよなあ。


  
 2001/05/12  十字式健康法って何?


この春先に病んだ気管支炎、それ自体はなおった後も空咳が停まらなかった。絶えず唾液が気管支に流れ込んでいるような不快さだ。一ヶ月たってもいっかなおさまらない。同じ頃、息子の新が喘息を病み、困窮していると聞いて、はたと十字式健康法の記憶が戻った。メガビタでも効かないのは結石症やこの種の長引く咳だ。そして十字式健康法とは俺にとって「奥の手」なのである。さっそくインターネットで十字式健康法を検索して、東京に住む新に品川会場を教えてやった。彼は父親の俺と同じく結石持ちで、喘息のほうは母親のサッチャンのDNA持ちなのだ。結石は痛むし、喘息は苦しいという二重苦の新は藁にも縋るという気分で連休明けの品川会場へ。嘘のように二つの症状が軽快し、彼の職場では十字式フィーバー、魔法の療法と騒がれているそうだ。そこで俺もサッチャンを連れて近くの会場へ向かった。サッチャンも俺も当日のうちに咳が止んだ。怪しい宗教がかりの治療法だとだれしも思うことは一緒。そこで会場で手に入れたパンフレットを紹介する。一条ゆかりさんとは十数年前に一度お目にかかったことがある。アグレッシブな印象の美貌の少女漫画家さんであった。そのパンフレットはあっと驚く後半を伏せて前半分だけ。興味があれば近くの会場に出向けば、パンフレットを貰えるぞ。俺と同じ空咳を十数年も身に染みついた癖にしている娘の少女漫画家平井摩利にこのパンフレットを与えてやろうと思っている。
  
 2001/04/28  印刷版で本造りを試してみた


せっせと励んだ本造り
電子ブックも現状のままではどうにもならない。デスクの上のでかいモニターの前に縛りつけようとするのが、そもそも無理があるのだ。どんどん視力が低下する、電磁波のために頭痛持ちになる。高価な液晶モニターに換えれば頭痛と視力低下は低減される。年々歳々液晶モニターは安くなるが、それにしたってデスクの前に鎮座したまま縛り付けられることには変わりない。
俺の持論だが、本は寝転がって読むものだ。本というインターフェイスは本当によく出来ている。寝床の中、トイレの中、風呂の中まで持ち込むことが出来る。ノートパソコンを使っても風呂の中は無理だ。要するに、持ち運び自由、折り畳み自由の電子ペーパーによるリーダーが登場するまでは忍の一字ということではないか。数年後には実用化にいたるだろうが、それまで待てんという向きもあるだろう。
そこで俺は印刷版というのを試してみた。日本の大抵の家庭には年賀状造りという国民的習慣から、高性能のカラープリンターが浸透してきた。価格低下ぶりも驚くほどのペースで進んでいる。こいつを使ってみない手はないということで、ご覧の画像になった。
コピー用紙は不向きである。カラーにすると裏写りが激しい。再生紙を使った安価な両面上質普通紙というのがエプソンから売られているのを発見、使用した。なかなか調子がよい。しかし、幻魔大戦DNA編は一冊あたり三十枚ほどある。コピー用紙だとなんとかホチキス10ミリ針が使えるが、厚手の両面上質普通紙は無理だ。その上のやや太い針の一回り大きいホチキスを使うしかなかった。そこまでやらずとも、輪ゴムを二つ折りにした中閉じ部分にかければ一応不自由はない。
この印刷版、不満はいろいろある。枚数を最低限にしたのでフォントが小さく読みづらいのだ。しかもカラーのイラストの画質は低く、二段あるスペースの一段分に押し込んであるので小さすぎて見栄えがしない。これでは売れなかろうと思わせる。しかし、試用する前に購入方法が煩わしくて、ギブアップしそうだ。
不満はいろいろあるが、やはり紙の本というインターフェイスは素敵だ。寝っ転がって読めるのが最高。自分の作品がこんなに面白いとはなあ。やっぱり本は寝て読みたい。


  
 2001/04/11  電子出版、ナメんなよ


「本とコンピュータ」誌でアンケートとインタヴューを受けた結果がこの春季号に掲載されている。こちらの意が尽くせたわけではないが、既存の出版社が電子出版をめざしても、あまりいい結果は出ないという結論を感じ取れるだろう。作家たちが自分のサイトで自分の電子ブックを売るのが一番よいのだが、わがe文庫が作家たちにとってよい見本になり、ポータルサイトとして機能するという未来が望ましいと俺は思う。これはまだ風聞の域に毛が生えた程度だが、異種業者としてソニーが乗り出すというニュースがある。作家たちは雪崩を打って、頼りにならない既存出版社が保険をかけたような電子出版社よりもソニーを選びそうな気がしてならない。日本の出版社はいずれも古めかしい前近代産業なのだから、というのが俺の感想だ。
尚、取材時に用意した回答、ちょっと長めだが、付録としてここに公開する。
解答編
● 電子出版への早期取り組み

1980年代に入って間もなく、発売された富士通の初代ワープロ、OASYS100Jを購入。価格はなんと百五十万円もしました。購入の動機は当時、三年ほどかけて「幻魔大戦」シリーズ二本を昼夜兼行で書き続けるうちに、ペンを握る指に激痛が生じて、執筆に支障をきたすようになったから。渡りに舟、と飛びついて、以来親指シフターと化しました。親指シフトの優れた利点は、思考速度とシンクロナイズさせて書けること。
以来二十年近く、ワープロで小説を書きまくりました。当時のパソコン、コンピュータの未来を見据えるSF作家にはお笑い種の稚拙なシロモノ。1995年、WINDOWS95出現によって、本格的にパソコン使いを目指しました。

● 電子文庫パプリ

1980年代から、出版文化には大きな変動が始まりました。本の流通が動脈硬化を起こし、欲する本がきわめて入手しにくくなったことです。明らかに出版業界は一足先に崩壊してしまった日本映画界の後追いを演じておりました。ペーパーをメディアとする出版が資源の限界も相まって、先細りになるのは明白で、インターネットをはじめたばかりの私は当然のようにデジタル・ブックへと赴いた次第。
当時はまだパソコン通信の時代。まずニフティを初めてとするメジャーどころを十社糾合して、本格的なデジタル・ブックを販売することにしました。そのころ、デジタル・ブックを細々と販売する動きがあったとはいえ、ライターはアマチュアレベル、課金制度が整備されていないため、プロ作家の売れっ子が参画するなど夢物語、一般マスコミはまったくこの分野に無知であるばかりか、一片の興味も持たぬ有り様でした。

さて、私平井和正は自分がデジタル・ブックの開拓者となるもっとも好適な資質を備えていると自覚しておりました。ベストセラーの常連として多少は名前を知られており、固定読者も持っている。そして何よりの特技は書き下ろしが出来ること。普通、作家は売れっ子になると、多数の出版社と満遍なく付き合うことを余儀なくされます。狷介な私は大出版社との交際を意識的に避けてきたので、お付き合いは常時二社止まり、そのうちの一社とは改竄事件発生で気まずくなり、残る一社の間も言葉狩りで信頼関係が傷つき、新天地を目指していた。毎月一冊ずつ書き下ろしが出来る私は、新天地となるべきデジタル・ブック業界を自ら育てるしか道がない。固定読者がいて彼らは私の新作を待ち望んでいるのだから、絶対にやらねば、と決心。

ニフティ以下十社を糾合してスタートした時は、新作「ボヘミアンガラス・ストリート」は全九巻がすでに書き下ろされているという好条件。一般マスコミに関心を抱いて貰えるチャンスでした。
狙いは見事的中、「ボヘミアンガラス・ストリート」は一巻あたり四桁の部数を販売することが出来ました。当時の未開拓のデジタル・ブックを試みる人々にとって、この数字は驚異的であったでしょう。なにせ、二十部も売れれば成功、と目されていた時代ですから。
昨年、アメリカの超流行作家スティーブン・キングがネットで新作小説を販売、何十万という売り上げを上げましたが、衝撃度としてはまさしくあんな感じだったでしょう。

1995年、アスキー出版を足掛かりに始めた電子出版は、手前味噌のようですが、まさしく画期的でした。パソコン通信時代のテキスト販売を中止、カラフルな本格的電子出版物として再スタートしたからです。その後アスキー出版が深刻な営業不振で撤退するまで、着々と基礎固めを行いました。
陰気な味もそっけもないテキストなんか駄目だ、というのが私の絶対的信念。すでにペーパー・メディアで達成したカラー化で行かなければ、読者たちははなはだ不満に思うだろう。やるなら徹底的にやろう。というわけで、アスキー出版で手がけていた紙の本は、カラー化を特化させ、電子ブックのためにイラストレーターには泣いて貰って装幀、口絵を含めてイラストはすべてカラーで二十数点、という紙の本でもやっていない無茶な冒険をやりました。これが当たって、売れ行きは倍増、更に倍増。
しかし、アスキーが崩壊的退縮に至って、離れる決心を固めた理由は、この出版社がデジタル文化にもっとも寄与する条件を備えているにも関わらず、とんでもない考え違いをしていたからです。
とてつもなく使いにくい暗号キーを使用、読者が手に入れにくいようにしてしまったこと。私自身で購入を図ってもうまくいかない、失敗続き、とあれば、購入しようと望む読者の迷惑はここに極まれり、というわけで、何度も暗号キーの廃止を要請するも聞き入れられず、アスキーと手を切り、小規模なデジタル出版社「ルナテック」に鞍替え。
販売点数、売り上げともに急増中です。要するに読者が買いやすいシステム、読者が喜ぶ魅力的な本造り、それを提供するしか小資本の小規模デジタル出版社が生き延びる見込みはゼロなのですから、これまで手がけた大手のデジタル出版社が不振に喘ぐ、というのであれば、それと正反対のシステムを採用しているとしか言いようがありません。

●今後電子出版販売に不可欠なこと。

電子文庫パブリ、読者の要望に沿っているとはとても思えません。新作書き下ろしがない、カラー化がなされていない、読者の割高感が強い。表紙もないような本をだれが書店で買うでしょう。読者としての視点が欠如した商売は、ペーパーであろうとデジタルであろうと成功の見込みはありません。少なくとも私自身、電子文庫パブリで買い物をするほど買い気をそそられません。「ルナテック」で私のe文庫をお買い上げ下さる読者の皆さんは、こんなに安くて大丈夫ですか、やっていけるんですかと心配してくれます。読者の支持を得ることが開拓期においては絶対不可欠なんですけどね。

何にも増して不可欠なのは、読者の歓迎するリーダーです。三十分もモニターの前に座っていると覿面に頭痛がするようなシステムで、読書なんか出来ますか? 高価だった液晶モニターは毎年安くなっていますが、まだまだ。私に言わせれば、読書は寝っころがってするもの。一時はリブレットという東芝製の人気のあった小型ノートパソコンで読書を勧めていましたが、これも寝っころがっていると支える手が辛い、まるで分厚いハードカバー本並みだし、ノートパソコンは発熱体なので、低温火傷が心配だったりする。
電子ブックが大ブレークする時は、この寝っころがって、という条件をクリアーした時です。それは電子ペーパーと呼ばれる、本物の紙のように折り曲げ自由の持ち運び至便、寝っころがって読めるリーダーが廉価で販売される時です。PDAには期待しておりません。豆本を読むとやはり頭痛がしますからね。

● 電子出版の未来

紙の本の未来は、だれが考えても悲観的でしょうが、非常に高価な商品として細々と永らえることは疑いません。資源問題は限界に来ているのですから、電子ペーパーが一刻も早く実現することを日夜祈っております。紙資源業界が術策を弄して電子ペーパーを葬ろうとするような未来があったら困りますね。(「メガビタミン・ショック」という本を書いて、製薬業界が本気でメガビタミンを葬ろうとした事実を知りました。)

○ 最後に

e文庫、というネーミングを思いついたのは、もちろんiモードに触発されたせいです。なぜかインターネットの世界では大文字のアルファベットが野暮です。これは感覚的な問題で、だからこそ重要です。iモードというネーミング、大文字でIモード、だったら、こんな大爆発に至らなかったろう、と本気で思います。少なくとも買い気は起きなかったことは私自身確実です。



  
 2001/04/10  ご存じヨコジュンの痛快青春記


「ヨコジュンのハチャメチャ青春記」を紹介する。
ヨコジュンこと横田順弥氏はこの数年、いろいろ憂鬱なこと嫌なことが続いて低迷していたが、やっと吹っ切れたようだ。それはこの自叙伝を読めばすぐにわかる。勢いがあって愉快なヨコジュン独自のハチャメチャ調が復活している。おもしろいことは俺が保証してもよいから、書店で巡り会ったら是非とも手に取ってみて下さいまし。(出来るだけ古本屋では買わないように)尚、本の中でヨコジュンが俺を師匠呼ばわりしているのはあまり本気にしないこと。俺は一度も小説の書き方をヨコジュンに指導したことはない。本を読む限り実際に指導したのは小松左京だから、師匠の本筋はこっちだろう。尚、本の中で、小松左京が俺の仲人だと誤記されているが、俺の仲人は故星新一さんである。小松左京は筒井康隆の仲人だ。ヨコジュンはパソコンをやらない人なので、これを読む機会はあるまいが、ヨコジュンや鏡明たち「一の日会」メンバーが俺の本のキャラになって登場したのは「超革命的中学生集団」だけではない。「地球樹の女神」でも重要なキャラクターとして活躍している。さては、ヨコジュン、読まなかったな。泣きながらハードカバー全十三巻、贈呈したのによう。

  

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