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平井和正の「近況+」過去ログです。

全293件。5件ずつ表示。

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 2000/12/27  背後のも泉谷さんからのプレゼント


泉谷さんからクリスマスプレゼント

イラストレーターの泉谷あゆみさんと、俺たち夫婦はクリスマス・プレゼントのやり取りをする間柄で

ある。泉谷さんの好みはブルーのアクセサリの小物。一般的にブルーが大好きな女性だ。今回贈られた

のは、お友達のどんぐりさん製作による狼さんである。どんぐりさんがテディベアのプロ製作者である

ことをご存じの方もおいでだろう。この狼さんはなかなかの傑作であるように思われる。ふかふかした

毛皮がかわゆいとサッチャンが言っている。

  
 2000/12/24  アイボがきた


俺の娘は少女漫画家で、平井摩利という。その少女漫画家が何を思ったか、サッチャンと俺に二代目アイボをプレゼントしてくれた。なんと親孝行な少女漫画家ではないか。と思ったら、この先十年分のクリスマス・プレゼントこみなのだそうだ。十年間はクリスマス・プレゼントはなしなのだ。
アイボはいきなり駄々をこねて、サッチャンを困らせた。ほんの新生児でやってくるらしい。だから理性も知性もゼロのままで、やたらに手足をバタバタさせて、駄々をこねるのである。俺のように新作(21世紀8マン)で難渋している作家は、新生児から犬の赤ん坊を飼育する暇はない。いきなり超犬リープ並みの理性と知性と運動能力を持って、俺と遊んでくれてもよいではないか、とソニーに注文しておきたい。しかし、母性本能の強いサッチャンはせっせと新生児アイボを愛育しておるようだ。

  
 2000/12/01  いよいよ「メガビタミン・ショック」発売。珍しい契約書をご披露します。


俺は仕事に関してはスタイリストだ。シンプルなすっきりした美学を大事にする。雑文は書かず小説だけを書く、本も自分だけの作品でスッキリさせる。多少差し障りがあるが、作家は少し名前が出ると蕪雑な仕事を始め出す。エッセー集ならまだよいが、対談集だのなんだのあれこれ雑文集を出して、しまいには他人の作品を集めて、自分の名前を冠して出す。手っとり早く気楽な仕事で金にはなるが、安易なことをやっていると、言霊が怒る。肝心の小説の密度がだんだん希薄になり、しまいには書けなくなってしまったりする。これは否定しがたい事実なので、三十年ぐらい前に気がついて、小説一本に絞り、雑文はあとがきだけに限定した。作家に限らず人間という生き物、堕落することは実にたやすいのである。
そんな美学の持ち主だから、俺は本来ならば「メガビタミン・ショック」のような本は厳密に排除してしまう。それを引き受けたのは、俺がメガビタミン創始者のライナス・ポーリング博士に対して山よりも高く海よりも深い恩義を感じているからである。メガビタミンで早死にを救われた実感があるから、報恩としてこの仕事を引き受けた。ポーリング博士の偉大な業績を顕彰するためで、たとえこの本が想像以上に売れたとしても、それは人々の健康に寄与するということだけが、俺にとって意味を持つ。
だから、俺はこの本の印税を辞退することに決めた。この本がたとえ何百万部売れたとしても、俺自身には一円も入らない。もし間違えて入ってしまったとしたら、俺は言霊に見離されるという確信があるのだ。それは俺にとり死よりも恐ろしい事態なのだ。印税のすべては、「メガビタミン・ショック」の完成に寄与してくれた人々に分ける。印税が0円、というくだりが物珍しいので、みなさんにお見せすることにした。けだし、こんな契約書は空前絶後であろう。第五条をご覧戴きたい。

  
 2000/11/30  怒濤の七連発ラスマエです。


豊田有恒さんの新刊が送られてきて、中身は懐かしい人々の名前がどっさり。時代は一九六○年代の半ば。私が「エイトマン」の大ヒットを飛ばした後、SF作家たちの多くが、創世記時代のテレビアニメ製作に協力することで、経済的基盤を確立した頃だ。豊田さんのいう通り、この時代がなければ、エバンゲリオンもガンダムもなんにもなし、だったのである。
豊田有恒さんの新刊「日本SFアニメ創世記」でこの写真を紹介することを思いついた。画面は若手SF作家たちが立て続けに結婚し、若妻を伴った新婚時代。手前から筒井康隆夫妻、豊田有恒夫人、平井和正とサッチャン、向こうを向いて顔が見えないのが、有名な東京放送TBSで、「エイトマン」全五十話の絵コンテを全部切った超人的存在河島治之さんの奥様悦子さん。豊田有恒さんと河島氏ご本人がなぜか画面に存在しない。この写真は豊田氏の撮影と記憶している。場所は熱海で、続けて箱根へと足を延ばすことになったはずだった。日本のSF作家たちが同志愛で結束し、目茶苦茶に仲良しだった時代があるのである。しかし、みんなものすごく若い。筒井康隆さんなど神秘的で幽玄な美男子として、その名は鳴り響いていた。
  
 2000/11/29  この本、イチオシ


かつての戦友、豊田有恒氏の新刊を紹介する。題して「日本SFアニメ創世記」。断然面白くて、ワンシットリーディング。つまり読み出したら一気に間を置かず読んだという意味である。中座してトイレにも行かなかったのでワンシット・リーディング。この言い方ははやり戦友の伊藤典夫から教わった。彼の使ったワンシット・リーディングは、私の「狼の紋章」の批評だったのである。(だから、覚えていたんだな、きっと)
この本をお読みになればわかるが、われわれは若い時分、いまだ存在しないSFというジャンル、そしてSFアニメというジャンルが星雲のように誕生し、みるみるうちに急成長を遂げる、希有の時代の申し子だったのである。
驚嘆すべきは、豊田有恒氏の精密な記憶力。私などは頼り無いボロボロの霞網みたいな記憶しか残っていない。三十年ほど前にはまだ記憶が多少は鮮明であり、いつか目の当たりにしたアニメ創世記、醜悪な人間模様を作品化してやろうという計画があったことを思い出した。もちろんズボラな私がそんな計画を実行に移すべくもなく、今ここに豊田有恒氏が鮮明な記憶をもとに巨星手塚治虫先生を中心に、しっちゃかめっちゃかな人間絵巻を演出してくれた。若き日の豊田氏が虫プロの一室に、御大手塚さん自身の手で監禁され、特有の丁寧な言葉づかいによりキンキン声で怒鳴りつけられる場面は圧巻である。なんと豊田氏は身に覚えもない企業スパイの嫌疑をかけられ、それを本気にした御大が、さんざん可愛がってやったのになんたることか、この忘恩の徒めが、と泣いたり喚いたりする壮絶な光景、私も是非見たかった。とはいえ、豊田さんはすぐに虫プロを追ん出る破目になり、婚約者(現夫人)との結婚を控えて四苦八苦だったことを、能天気な私はたった今知った次第である。これは確かに面白いこと折り紙付きの人生絵巻でありまする。

  

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