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平井和正の「近況+」過去ログです。

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 2000/11/30  怒濤の七連発ラスマエです。


豊田有恒さんの新刊が送られてきて、中身は懐かしい人々の名前がどっさり。時代は一九六○年代の半ば。私が「エイトマン」の大ヒットを飛ばした後、SF作家たちの多くが、創世記時代のテレビアニメ製作に協力することで、経済的基盤を確立した頃だ。豊田さんのいう通り、この時代がなければ、エバンゲリオンもガンダムもなんにもなし、だったのである。
豊田有恒さんの新刊「日本SFアニメ創世記」でこの写真を紹介することを思いついた。画面は若手SF作家たちが立て続けに結婚し、若妻を伴った新婚時代。手前から筒井康隆夫妻、豊田有恒夫人、平井和正とサッチャン、向こうを向いて顔が見えないのが、有名な東京放送TBSで、「エイトマン」全五十話の絵コンテを全部切った超人的存在河島治之さんの奥様悦子さん。豊田有恒さんと河島氏ご本人がなぜか画面に存在しない。この写真は豊田氏の撮影と記憶している。場所は熱海で、続けて箱根へと足を延ばすことになったはずだった。日本のSF作家たちが同志愛で結束し、目茶苦茶に仲良しだった時代があるのである。しかし、みんなものすごく若い。筒井康隆さんなど神秘的で幽玄な美男子として、その名は鳴り響いていた。
  
 2000/11/29  この本、イチオシ


かつての戦友、豊田有恒氏の新刊を紹介する。題して「日本SFアニメ創世記」。断然面白くて、ワンシットリーディング。つまり読み出したら一気に間を置かず読んだという意味である。中座してトイレにも行かなかったのでワンシット・リーディング。この言い方ははやり戦友の伊藤典夫から教わった。彼の使ったワンシット・リーディングは、私の「狼の紋章」の批評だったのである。(だから、覚えていたんだな、きっと)
この本をお読みになればわかるが、われわれは若い時分、いまだ存在しないSFというジャンル、そしてSFアニメというジャンルが星雲のように誕生し、みるみるうちに急成長を遂げる、希有の時代の申し子だったのである。
驚嘆すべきは、豊田有恒氏の精密な記憶力。私などは頼り無いボロボロの霞網みたいな記憶しか残っていない。三十年ほど前にはまだ記憶が多少は鮮明であり、いつか目の当たりにしたアニメ創世記、醜悪な人間模様を作品化してやろうという計画があったことを思い出した。もちろんズボラな私がそんな計画を実行に移すべくもなく、今ここに豊田有恒氏が鮮明な記憶をもとに巨星手塚治虫先生を中心に、しっちゃかめっちゃかな人間絵巻を演出してくれた。若き日の豊田氏が虫プロの一室に、御大手塚さん自身の手で監禁され、特有の丁寧な言葉づかいによりキンキン声で怒鳴りつけられる場面は圧巻である。なんと豊田氏は身に覚えもない企業スパイの嫌疑をかけられ、それを本気にした御大が、さんざん可愛がってやったのになんたることか、この忘恩の徒めが、と泣いたり喚いたりする壮絶な光景、私も是非見たかった。とはいえ、豊田さんはすぐに虫プロを追ん出る破目になり、婚約者(現夫人)との結婚を控えて四苦八苦だったことを、能天気な私はたった今知った次第である。これは確かに面白いこと折り紙付きの人生絵巻でありまする。

  
 2000/11/28  これで四連発目


「推定有罪」という本をお目にかける。
興味がある方に一読を勧める。弁護士たちは、検察官が証拠を偽造したり隠匿したことに強い疑いを持っている。この記録を読めば、そんなバカなこと、いくらなんでも、という声が出なくなる。日本は老朽国家と呼ぶにふさわしい現象がいくらも起きるようになった。そのもっとも顕著な特徴は、自浄作用が働かなくなることである。一人の常軌を逸した検察官が、日本の検察全ての株を下げてしまう。裁判官はいうも更なり、老朽国家日本はいったいどこの奈辺を流離うことになるのだろうか。もちろん、日本よりひどい状態の国家はいくらもある。しかし、自分の国に誇りが持てなくなるのは悲しい。もういいから丑寅の金神さまにぐれんっとひっくり返して貰いたくなる。
  
 2000/11/27  三連発であります。七連発ぐらい行くかな。


角川春樹さんが収監されるという報道が日本全国を駆けめぐった。コカインを使用したということだが、私には最初から違和感が存在した。春樹さんと私は霊的な体質が似ている。「神懸かり体質」なのである。私の場合は会議中に床にしゃがみこみ、何をなさっておられるのですかと問われて、今地震がくるので、それを抑えている、などと口外しないだけだ。大きなフォースの所有者は地震を抑制できる、というのは神懸かり体質者にとっては常識みたいなもんである。ところで、コカイン使用説で疑問符が頭上にいくつも浮揚したのは、神懸かり体質者は自前の脳内物質を生産できるので、コカインなど薬物は元来不要なのである。私はヤクには一切興味がないので、ビタミンCで間に合ってしまう。ビタミンCはバランスを取る作用があるらしい。β-エンドルフィンとかいうような脳内物質が暴れるのを抑制し、均衡を取ってくれる。
そんなわけで角川春樹コカイン常用者説には首肯できないものを昔から覚えていた。今回の収監騒動で、角川春樹事務所刊の「推定有罪」という本を取り寄せて読んだ。春樹さんの弁護士たちが書いた本である。推定有罪というのは、検察官も裁判官も、最初から角川春樹コカイン常用説という強い予断を持っていた、という意味だ。もはや裁判以前に有罪の宣告を下しているのである。そして有罪の証拠だけを集める。証拠がないと、証拠をでっちあげたりする。「真昼の暗黒」の誕生である。これは文字通り重大犯罪行為であり、コカインを一服やったというのが交通違反だったとすると、テロ行為で国家簒奪、というぐらいの巨大犯罪である。私の友人にはなぜか国家の犯罪行為で無実の罪に問われる連中がいるのだが、真昼の暗黒をでっちあがるのに十字軍的情熱を傾けたある気鋭検察官は、精神に逸脱が始まり、暴行事件など起こして休養中だそうである。丑寅の金神さまというおっかない神様は、世界を「ぐれんっ」とひっくり返し、上のものを下にしてしまうそうだが、裁判官や検察官という社会の上部にいる連中は一番底辺に行ってしまうようである。
このサイトの掲示板でも、角川春樹さんの収監が報道されると、潔く罪に服せなどという発言が目立った。それは最高裁の判決で有罪と決まれば、だれもがそう思うだろうが、私は違う。欧米では、判事という存在は社会的名士であり、多くの人々にその人となりを直接知られている。日本の場合は、裁判官は俗人と交わってはならないという恐ろしく偏狭な気質から生まれる暗黙の申し合わせがあり、独りよがりな孤高とやらを決め込んでいる。しかし、奇矯な世間知らずになってしまう裁判官がぞっとするほど多い。私は名門中大法科の出身で、司法試験がいかに若者をゆがめてしまうかある程度知っているのである。一般常識も何も持たない、コンピュータ頭脳のような融通が利かず想像力も持たない奇矯な人間を製造するにはもってこいの環境だ。今回、弁護士三倍増と報道されているが、大本の環境が変わらなければ、さしたる変化はあるまいと思っている。

  
 2000/11/26  細部が見えないとお嘆きの方々へ


クリアーに見える「メガビタミン・ショック」表紙原画をお見せする。壁紙にして、漫画家余湖裕輝氏の沢山の仕掛けをお楽しみください。これは心底から可笑しい、本当によくできた表紙である。それにつけても、表紙の平井和正という文字はデカスギだと思うぞ。

駿台曜曜日社さんから以下の連絡がありました。

[青焼き校正が終わり、11月28日に社内見本、30日に取次見本と決定いたしまし
た。]
月末というのは正しかったけれども、書店にはまだ配本されておりませんでした。フライングでしたね、御免下さいまし。




  

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