2006/01/17
アンチウィルス・ソフトとの闘い(今年初めての更新)
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2006年最初の更新。視力減退著しく、パソコンを使用するのも億劫。これも何万枚にも及ぶ大量の校正の後遺症である。その平井和正が数十年ぶりに、英文のポケットブックをアマゾンで購入した。1970年ごろからカルロス・カスタネダの“トルテック”物を読み始めて、そのカルチャーショックの激しさにうめきながら、繰り返し繰り返し読み返してきた。 その私がなぜ視力減退にもかかわらず苦手中の苦手の英文に挑むか? 翻訳者が変わってしまったからである。翻訳した文章も当然変わる。前の翻訳者が、ドン・ファンの意に添って、注意深く避けてきた“シャーマン”などという言葉が、新しい翻訳者による本では平気で出てくる、出てくる。 そうなると、原文ではどうなっているのか、確かめずにはいられなくなる。それほど私にとって重要な意味を持っているのである。ドン・ファンによれば、“呪術師”という言葉すらも意に染まなかったようだ。つまり、呪術という言葉は、土俗的妖術などに近いニュアンスを持っているからである。気持ち悪い、と感じる人々も沢山いるだろう。 「人間の本当の自由」とはなにか、を一貫してドン・ファンは説いている。この世のありとあらゆる宗教とはなんの関わりもないのだ。眞の“トルテック”は宗教にも呪術にも遠い。 私の本を読んでくれる人々も、私が一生かけて追い求めようとしている「人間の本当の自由」への理解はほとんど示してくれない。残念ながら、力及ばずか。 ドン・ファンが指し示しているのは、「人間の本当の自由」はすでに完全に奪われており、“トルテック”だけが、それを奪還する可能性を持つということである。 これだけを見ても、ドン・ファンがいかなる宗教とも何の関わりも持たないことがわかるのではないか。 現在執筆中の小説「トルテック」、東丈が登場する理由はそこにあるのだ。 ところで、アンチウィルス・ソフトをやっと換えることができた。更新が気軽にできるようになったのは喜ばしい。
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