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平井和正の「近況+」過去ログです。

全293件。5件ずつ表示。

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 2005/12/12  特別座談会「伏竜、雲をつかむ」


東京へ出るのが堪らなくしんどくなってから二年以上たつ。小田原と東京は同じ程度の距離しかないが、小田原に出るのは平気である。なにか理由があると思うのだが、それが心理的なものか、生理的なものか判断に苦しむ。東京へ行くな、となにか引き止めるものがある、などというとオカルティックになるが、私としてはただ東京へ行きたくないと感じるだけだ。
その苦手な東京へどうしても出なければならなくなった。特別座談会もその理由の一つである。東京へ出ると、数日間、使い物にならなくなる、と今、これを書きながら気付いた。私はただ仕事に明け暮れすることだけを人生の目的にしているから、それを妨げることはすべて退ける、そんな生き方をいつしか自分の深層心理に叩き込んでいたのかもしれない。
こんなときはつい風水的理由などを考えたくなってしまうのだが、今この瞬間、振り子にお伺いをたてると、ノーという答えを私が期待したのにも関わらず、イエスとあっさり振り子が答えやがった。あ、ごめん、振り子さまに失礼なことを。
とにかく五年間のうちに、活きが悪くなったウルコムを仕立てなおすのは悪いことではない。惰性で流れやすいウルコム運営に喝!というわけである。今年は「どこでも読書」という携帯小説に打って出た。吉凶を占えば、もちろん吉である。他のデジタルデバイド組の作家たちがまごまごしている間に、新しい分野に切り込む快感!
 
電子出版はついに伏竜が雲を呼び天空へ駆け上るか?! 是非そうあって欲しいものである。
ウルコムの読者の皆さんに十五名集って戴き、電子出版への要望をこもごも語っていただいた。鋭い指摘やユーザー心理の微妙さなどを拝聴させて戴いて感謝しております。



  
 2005/11/02  もう一つの対談



昔はよくひっぱりだされて対談や座談会を雑誌でやった。私は作家だから、寝ぼけていたり失語症気味になっていたりすると、校正ゲラで修正する。修正どころか書き直したりするのもしょっちゅうだった。対談や座談会はエンターティンメントだから、読者が面白がってくれないような紙面にならないように腐心する。ど忘れした記憶を新たにするなど校正ゲラは真っ赤な書き込みでどんどん埋まった。読者サービスが旺盛だった頃の話である。
今回久しぶりに対談をやった。相方はご存じ七月鏡一さんで、楽しい対談になった。
二・三日ぶっつづけで対談を続ければ一冊の本になったかもしれない。
昔、高橋留美子さんと電話対談をやったときはその回数は優に二週間分ぐらいあり、まとめてみたら「女神の時代」とタイトルするほどの量があった。残念ながら、そのときは留美子さんの事情があって本にはならなかった。
今回、なぜか私の校正分が雑誌編集部に届かず、せっかく加筆したものが宙に浮いてしまった。たぶんダ・ビンチの編集部へもう一つの雑誌編集部へと中継して貰ったため、セキュリティーソフトが臍を曲げたかなにかしたのであろう。
体調が悪いのに苦心して書いた加筆分がもったいないので、拙息アラタに頼んで狼亭に載せて貰うことにした。たとえば半村良を東伏見稲荷におびきよせ、彼の一日五十枚の執筆量の半分を神様が召しあげ私に回してくれた故事など、半村良の正確なクレームの文句など是非お読みください。
  
 2005/08/23  8man infinity


近況の名に値する画像がやっと得られた。コミック版8マン∞の二冊同時刊行の表紙である。七月鏡一さんの原作であり、私平井和正はルーツである。七月さんを強く推薦したのは私であるから、このコミック作品の出来には強く安堵させられた。絵は繊細で美麗である。私はアンナという「美幼女」のご贔屓だ。彼女が自分より大きな巨大トランクを持って出現したとき、本気で安堵した。一枚の絵でその全体を占えそうな気がしたからである。
七月さんには悪役キャラを大事にしてほしいと願う。偉大な悪役こそ物語の要諦だと思うからだ。

  
 2005/08/17  季節はずれの象と桜です


アラタの手を借りて、ウィルスソフトを入れ替えた。うまく行きそうなのだが、確信はない。不可解なことが多すぎるからだ。幻魔大戦deep、特別付録の「ひらりんのきまぐれ雑記帳」の校正をやっているところである。付録にするのがもったいなくて仕方がない。最新作にもこの八月から手を染めたことだし、仕事に本格的に復帰する覚悟も出来た。
画像は、桜の季節のものである。この頃はもうすでに画像をアップできなくなっていたと思う。ウィルス産業は、ポーリング博士のいう「病気産業」に似ているような気がする。
  
 2005/07/01  がんばれ携帯小説たち


携帯小説、奔流のように、まさにこの日のために用意され蓄積された作品群が放出されていく。やった、というのが私の本音である。まるでこのために用意されたように、「幻魔大戦deep」が間に合った。数千枚の大作が間に合った、というのは偶然ではなかったように感じられる。数百枚の作品とは違うのである。予定を立てて書き進めたとしても、完成までに二、三年の違いは容易に出てきてしまうからだ。
十年以上前、私平井和正は、この日のためにスタートしたのである。初弾は「ボヘミアンガラス・ストリート」で、全九巻、それを半年で書き上げたとき、やれる、と感じた。言霊が遅滞なく下りてくることを知ったからだ。そして、ゴールは真打のような「幻魔大戦deep」、まさしく言霊下ろしは予定されていたものだった、と感じる。
今の私は、言霊から解放されている。老後の体力を使い果たしたからだし、長期休養を貰った気分でいる。
読者の皆さんが、次第に携帯で小説を読む醍醐味に慣れてきたようでもあるし、作家たちの選り抜きのおもしろい小説を「いつでも、どこでも読める……」楽しさを満喫して貰えるこの手段は、ごく自然の当たり前の一般的な風俗になるだろう。
それでこそ、出版界の悪しき風潮に逆らい続け、レジスタンスを続けた私のような異端児が存在した甲斐があるというものだ。在庫切れや言葉狩り、一切ない理想境が長持ちすることを切に祈っております。
  

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