2005/11/02
もう一つの対談
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昔はよくひっぱりだされて対談や座談会を雑誌でやった。私は作家だから、寝ぼけていたり失語症気味になっていたりすると、校正ゲラで修正する。修正どころか書き直したりするのもしょっちゅうだった。対談や座談会はエンターティンメントだから、読者が面白がってくれないような紙面にならないように腐心する。ど忘れした記憶を新たにするなど校正ゲラは真っ赤な書き込みでどんどん埋まった。読者サービスが旺盛だった頃の話である。 今回久しぶりに対談をやった。相方はご存じ七月鏡一さんで、楽しい対談になった。 二・三日ぶっつづけで対談を続ければ一冊の本になったかもしれない。 昔、高橋留美子さんと電話対談をやったときはその回数は優に二週間分ぐらいあり、まとめてみたら「女神の時代」とタイトルするほどの量があった。残念ながら、そのときは留美子さんの事情があって本にはならなかった。 今回、なぜか私の校正分が雑誌編集部に届かず、せっかく加筆したものが宙に浮いてしまった。たぶんダ・ビンチの編集部へもう一つの雑誌編集部へと中継して貰ったため、セキュリティーソフトが臍を曲げたかなにかしたのであろう。 体調が悪いのに苦心して書いた加筆分がもったいないので、拙息アラタに頼んで狼亭に載せて貰うことにした。たとえば半村良を東伏見稲荷におびきよせ、彼の一日五十枚の執筆量の半分を神様が召しあげ私に回してくれた故事など、半村良の正確なクレームの文句など是非お読みください。
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