2005/04/01
幻魔大戦deep発表を記念して
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明らかなことは、「その日の午後砲台山で」(「地球樹の女神全集」ルナテック刊収録)がなければ、「幻魔大戦deep」は存在しなかった。 これは地球樹の主人公四騎忍が東丈探しを、丈の姉三千子に依頼される、と発端から引っ張りだされた。瓢箪から駒が出る、という俚諺そのままである。 幻魔大戦は二度と書かれることはないだろうと思っていた。もはや休火山ではなく、すべての火山活動の終焉を迎えた死火山、と私は受け止めていたのである。 東丈はどうなったのか、と人に問われると、彼は時間と空間になってしまいました、と本気で答えていたからである。 それゆえ、東丈が再登場したとき、一番驚いたのは私、平井和正自身であったといえる。 東丈は恐ろしく扱い難い主人公であった。がちがちの生真面目なのである。唐変木(とうへんぼく)なのだ。私の主人公の中の異端児とさえいえる。 感情移入がしにくい東丈が去って、私は実のところほっとしていたほどである。 その東丈が帰還して、何を始めたか。私が想像することも困難なことをおっぱじめた。詳しいことは本編を読んで戴くとして、ああ、肩が凝るなあ、と一度も思わなかったことは事実である。 画像は全8巻のうち8名の女性たちがそれぞれの表紙に描かれている。彼女たちは振り子の回転につれてストリーリーのうちに次々に送り込まれてきたキャラクターである。いったいなぜ振り子なのか、それも本編をお読み戴くことにしよう。
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