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平井和正の「近況+」過去ログです。

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 2005/02/28  雪国奇木館だそうで


閉じ籠もり(冬眠状態)になっているので何もネタがないのである。作家になって以来の長期休暇である。横になるまでもなく、椅子に寄り掛かっただけで他愛なく眠ってしまうし、まさしく冬眠状態そのものである。ひたすら眠い。このところ小説もコミックも映画も面白いものがないので、ひたすら眠るのにちょうどよい。
あまりにも愛想がないと連れ合いにいわれるので、没画像を探した。つまり没画像というのは変なものや著作権が絡んでいたりして、公開できないものが多い。後者のほうは割合あるのだが、やはり公開できないものはできない。
比較的旧聞に属するので没にした画像を引っ張りだして、お目にかけることにしよう。
これは雪国奇木館といって、山奥から奇怪な形相の木を発見するとすかさず蒐集するという御仁が披露しているもの。場所は新潟の田中角栄という人物の大きな銅像が、やっ、と人々に答礼しているあたりにほど近い。
奇木珍木館、前に紹介しようと思い立ったのだが、その理由は忘れてしまった。たぶん性的禁忌が唐変木の私を抑制したせいではないかと思う。三月になると、多少活動期に入るかもしれない。

  
 2005/02/01  月光魔術團、ボヘミアンガラス、そして……


今春、携帯小説が本格的にスタートする。わがe文庫もいよいよ出陣である。画面は、満を持してだれが読んでもゼッタイに面白い、と作家自身が壮語する「月光魔術團」であるのは当然。この作品はヤングウルフガイ・シリーズでもあるわけだが、そんなことを忘れるくらい面白い。ああ、じいさんになると恥も外聞も忘れるのだな、などといってはいけないぞ。
だいたいにおいて作家は自作品を(純文学作家は除く)一つぐらい大衆の皆さんに覚えて貰えば大成功の生涯といえる。大抵は全部忘れ去られる。三途の川に捨てられてしまうのである。作家が生きているうちに、完全に忘れ去られるのはとても辛いものがある。しかし、それが古(いにしえ)からの約束事である。
私は、若い時分からその法則を心得ていた。本はすべてパルプとなって死灰のように消えていく。なんとかして自作品を残す方法はないか。
これはぶちまけてしまうが、そんなことを考える作家さんは私以外一人もいなかったと断言してしまおう。
自分の著書は永遠に残る、とそうした方々は不逞にも確信していたのだ。ああ、なんという傲慢さ! いまはその方々の著書は新刊書店の棚のどこにも見当たらない。図書館にあると思ったら大間違い。図書館ですらも古い本はみんな処分してしまうのである。汚らしいパルプになってしまうからだ。
自作品は永遠に残る、と確信していた作家さんたちは、自分の本棚に残っているだけ、と気がつかねばならなくなった。
私は十年前、1995年に、初めて電子出版を手がけた。そのとき、作家さんたちはそれを無視したのである。平井和正が変なことを始めたらしい、と噂していただけだった。
私は素晴らしくカラフルなイラストに彩られた「月光魔術團」を超小型ノートに仕込み、作家たちの集まりに出かけて披露したが、だれも興味を持たなかった。本当に洟も引っ掛けて貰えなかったのである。
これは愚痴をいっているのではない。嘆いているのである。SF作家ともあろう、未来に対して一見識あるはずの作家たちがなにひとつ未来における自分の立場を見通せなかったことを嘆いているのである。
これはとても悲しい話なのだ。すごく悲しい。一つの時代がお湯をかけられた砂糖菓子のように跡形もなく滅び去っていく、そんなイメージを与える物語だからである。


  
 2005/01/17  幕間のどうしようもないけだるさ


なにか、正月がずるずると続いているようなけだるさだ。世界が正常化されていないという印象がある。去年、といっても半月ほど前のことに過ぎないが、大晦日、遅くまで幻魔大戦deepを書き続け、完了させてから、どうも様子がおかしいのだ。世の中が正常化されないままに、どこまでもずるずる夢感覚を引きずっていきそうな気がする。
とめどもなくdeepの手入れをしているせいかもしれない。作家の私にとっては、物語が進行している最中だけ、みずからの存在理由があるし、そのほかの雑事に追われているとき、生きている実感が損なわれる。エネルギー減少の法則により、異様な速さで時間が流れ始めるのである。
この画像は、三題噺ではないが、たまたま書斎に集まったものを、なんの秩序ももたせずに撮影したものである。8マンはボックスが完成して、疾走する8マンの雄姿が整ったものだし、古ぼけたマスコットシリーズの函は、四十年前のシロモノで、サッチャンが汚いから捨ててもいいか、と問い合わせてきたものだ。そしてアメージング・ストーリーズの一冊は、1950年刊行。私がおんとし十二歳の頃、お小遣いで買ったもの。
この表紙の「星団の侵入者」は、後に社会派作家として有名になるウィリアム・P・マッギヴァーンがパルプライター時代に書いたSF短編。しかも特に名を秘すが、日本の漫画界をひらいた超有名漫画家が盗作疑惑を撒いたという作品でもあるのだ。どうです、読んでみたくなったでしょう?


  
 2005/01/01  本年もよろしくお付き合いのほどを


いやあ、なんのかんのといってるうちにぬっとした棒の如きもの(年のことだそうです)が明けましたね。作家という生き物は、決まり文句常套句が苦手な向きが多い。素直に明けましておめでとうございます、といえない。いったじゃないか? あ、本当だ。
ちょっと躁病なんっす。deepをアップさせたせいですね。いや、本体はもっと早く書き上げたんですが、付録というかオマケというか、appendexに凝ってました。
これが雑誌の連載なんかですと、もうぎりぎりの締め切りで、凝っている時間なんか当然ないです。書き下ろしの妙味はここにあるのですね。締め切りに遅れて担当編集と気まずくなることもないし、小説は書き下ろしに限ります。
それはともかく、ご覧の通りの画面は、BBeBファイルがこれだけ勢ぞろいしたというコンテンツのデモンストレーション。アラタをせきたてムチを入れてここまで制作させました。今年は、更にびっくりの企画が待っております。よろしくお付き合いのほど願い上げます。


  
 2004/12/25  稀代の天才


暮れも押し詰まりました。他の言い方はないものか、といつも思うんですが、他の形容はどうもしっくりしない。元日や冥土の旅の一里塚なんて川柳は、天才でもないと無理ですね。暮れも押し迫りすぎているのに、私は相変わらず仕事に専念しております。年賀状なんかこの数年、作る余裕もないし、作る気力もないときています。繁文縟礼というやつですから、まあいいか。繁文縟礼で苦労する年でもないし。
画像でお目にかけるのは、新しく出た「デスハンター」の上下巻。この桑田次郎氏の画は改めて見ると凄まじい迫力ですね。迫力からいえばピカイチ。沢山の映像関係者から映画にしたいといわれるのも無理はありません。いっときはハリウッドで作りたいという申し入れもありました。そういえば韓国漫画家のだれだったか覚えておりませんが、アスキーの漫画雑誌で途中まで描いて、大手出版社から誘いがかかると途中で放り出した御仁がいましたっけ。連載にこぎつけた関係者の苦労などお構いなし。義理や人情とは関係ないらしい。でも迫力からいえば、本家の桑田次郎氏とは比べ物にならなかったようで。
やはり桑田次郎氏は、稀代の天才としかいいようがありませんな。

  

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