2004/08/27
携帯小説、こうなります。
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ファイルの全ては既に用意されている。念のためにいいますが、これは画像を貼りつけただけ。こんなふうになりますよ、というデモであります。 携帯小説の読者は若い人々が多い。私は少年マガジンや少年サンデーを読んでいるくせに、これまで全然注意しなかったことがあります。少年週刊誌は総ルビが振られているのです。紙面に目を走らせている私は全然目にも止めませんでした。 しかし、このファイル作りで、私が留意したことは、若い読者は漢字が苦手であるということです。 作家としての私は、ただ原稿をどんどん書けばよかった。漢字に自分でルビを振るなんてことは滅多にありませんでした。よほど難訓であるとか特殊な読み方をするとき、ルビを振ることもありましたが、だいたいは編集者の仕事と心得ていたわけです。 ところが、気がつくと活字になった本に、とんでもない大間違いのルビをたくさん発見するようになりました。校閲というセクションで、ルビを振るのですが、校閲者の年齢が若くなるにつれ、国語力の低下は目を覆うばかりになりました。轟いた、と私の書いた漢字にトドロイタ、ではなくヒビイタ、とルビされています。こういう誤った読みは今、出版界では日常茶飯事です。 で、携帯小説の読者が若年層だと知ったとき、私はこだわりなく、総ルビ、と決心していました。昔、私たちの世代が子供であった頃、子供たちの読む少年倶楽部は総ルビでした。ムズカシイ漢字はその総ルビで覚えたものです。 しかし、総ルビ、実際に手がけてみると大変な作業になりました。私自身、さっと何も考えずに書いているのに、読む段になると、うっと詰まってしまう。日本語はすさまじいほど千変万化することを教えられて、つくづくとその玄妙さに感じ入った次第です。 「月光魔術團」12巻を総ルビつきにする作業、実に四ヶ月間かかりました。心身ともにへとへと、のていたらく。 人に愚痴をこぼすと、下請けに出せば、と軽く言われますが、作家の私が自分で書いた漢字が読解困難になり右往左往するのに、下請けに気軽に出せるはずもありません。 これだけ苦労したんだから、若い人々に漢字を覚えて貰うのにお役に立てば、と謙遜な気分でおります。しかーし、はっきりいって、もうイヤです。ゴメンであります。私に新作を書かせてくださーい。
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