2004/06/08
近事片々でござる
|
サッチャン秘蔵の鳥笛である。などと大袈裟なことをいっているが、サッチャンがこの笛を吹いても、鳥たちはせせら笑うこともしない。変な音がすると思うだけであろう。 裏の小藪でウグイスが朗々と啼いている。四月から六月にかけて、元気に啼いていたが、このところ、明朗くん、と名付けた素晴らしい啼き手が後釜と交代して以来、ちょっと精彩がない。先の明朗くんは私が洗面したりして物音を立てるとすかさず朗々とした声を披露してくれたのだが、後釜はナーヴァスらしく、逆に遠ざかってしまう。私を聴衆として意識していた明朗くんとは大違いでがっかりだ。 明朗くんが去ったのは、ホトトギスのせいかもしれない。ご存じの通り、このホトトギスという鳥はウグイスの巣に托卵する悪者である。仮親の何倍もあるホトトギスの雛は本来のウグイスの卵や雛を巣の外に蹴落としてしまい、悠々と仮親に餌を運ばせる。こいつらは神様が作ったのではなく、神様がちょっと目をはなしている隙に造作に手を入れた悪魔の産物であろうと思ふ。 この数カ月、私はちょっと草臥れた。十年も待ちに待った読書専用端末の登場で、気が緩んだせいらしい。リブリエで私は池波正太郎の鬼平やら剣客商売を読んでいるのである。これまでは本が増えるのを恐れて、我慢していた読書の領域なのだ。
| |